欧文部門 モリサワ賞 銅賞

Loica

Designer

ホセ・ソレ

チリ

12年以上にわたり、フォント制作を手がけているデザイナー。ディエゴ・ポルタレス大学にてグラフィックデザインを学ぶ。ダルトン・マーグではリードデザイナーとしてMagic LeapのLominoファミリーやNetflix Sansファミリーの拡張、アゴダのAgoda Sans TextやDisplayの制作に携わる。現在はフリーランスのタイプデザイナーとエンジニアとして活動中。

  • 制作意図

    Loicaは、10年以上前に「オールドスタイル」の書体デザインを学ぶために始めた作品です。私自身のタイポグラフィーに対する視点の変化とともに進化を遂げているため、何度も生まれ変わっている書体です。経験を積む中で、書体の持ちえる表現力について熟考するようになり、元のデザインを調整しながら、文字がさり気なくもより瑞々しくなるよう、親しみやすく、温かく、優しい雰囲気を持つ書体へと変化させました。このフォントファミリーは本文用に適した性質を持ちながらもエディトリアルな用途にも使えます。

  • 入賞コメント

    この名誉あるコンペティションに参加できたことを光栄に思います。著名な審査員の方々を前に、ファイナリストに選ばれたことを大変嬉しく、Loicaに注いだすべての努力が認められたことを実感しています。

審査員コメント

  • ラウラ・ミセゲル

    何よりもあたたかみ、落ち着きが感じられる作品です。長文でも何も邪魔するものがなく、本文書体として高い可読性と品質を備えています。Boldでは力強さも感じられ、Regularでは直線になっている「u」をBoldでは直線にしていないところがいいですね。かわいい鳥の絵文字を入れているのは詩のようなクリエイティブなテキストに使われることを想定しているのでしょう。スクリーンフォントとしてもすぐれた書体だと思います。

  • イリヤ・ルーデラマン

    過去10年の間で本文用書体の“可読性”の定義は変わりつつあり、その定義はタイプデザイナーによっても異なるように感じています。私は、目立たない/読んでいるときに邪魔をしない/自己主張をしない書体を“可読性が高い書体”と定義しているのですが、この書体はまさにそれを追求しています。かつてデザイナーの考えやこだわりを詰め込みながら、そうした定義を求めることは難しいことでしたが、この作品はそれが実現できていると思います。

  • インドラ・クッファーシュミット

    この作品はほかの作品と比べて、特に際立った点や実験的だと感じた点があるわけではありませんが、時代に左右されないデザインやひとつひとつの描画、調和のとれたレタースペースの品質が非常にすぐれていると感じました。たとえば「g」は心地のよいセーターを思わせ、あたたかな雰囲気を醸し出していますね。コンテンツの邪魔をせず、際立たせることのできる作品だと思います。

掲載している作品、プロフィール、制作意図、入賞コメントは、作者から提出された内容をもとに掲載しています。