ハングル部門 モリサワ賞 金賞

wanwan

Designer

ウィ・イェジン(魏睿眞)

韓国

ソウル出身。ソウル大学デザイン学部とレディング大学書体デザイン修士課程卒業。Sandollで6年間活字デザイナーとして勤務し、2024年からハングルを中心に東アジアの文字を扱うフリーランスの活字デザイナーとして活動中。

  • 制作意図

    緻密な中央部と長く伸びた母音が特徴の見出し用書体 wanwan (완완) は、写真植字用書体の小さなマージナルゾーンを取り入れており、仮想の郷愁を呼び起こします。この書体は厳格でありながらもいたずらっぽく、郷愁を呼び起こしながらも奇抜な面がある複合的な印象を具現化しています。

  • 入賞コメント

    wanwan (완완) は6、7年前からずっと整えていたスケッチです。モリサワの初めてのハングル部門のコンペティションを通じてご紹介できて嬉しいです。全角で設計した文字なので、モリサワで発売している複数の既存漢字フォントと混ぜて使っても面白そうです!

審査員コメント

  • 沈愚珍Sim Wujin

    一般的な本文用の書体に比べ画が厚く、文章符号も大きいため、小さいサイズでもしっかりと見える作品です。手書きの骨組みと漢字の隷書体のスタイルも持ち、古典的な印象を漂わせていますが、サンセリフスタイルで端正にデザインしたおかげで現代的な印象も与えます。「동」のように「ㄷ」と「ㅇ」の幅を狭くする骨組みと「긴」のように涼やかに伸びていく「ㄱ」の結びが代表的です。このような試みは、漢字の簡体字・繁体字スタイルにも見られます。東アジアの長年の筆跡の遺産をハングルに溶け込ませた書体で、今後どのように展開していくのかとても楽しみです。

  • 崔瑟杞Choi Sulki

    四角い枠を埋めるハングルデザインの一般的な字母の比率から逸脱し、ハングルの組み立て原理を際立たせる点において、現代性が感じられる作品です。枠から外れた文字は往々にして不安定な印象を与えがちですが、この書体は堅牢さが感じられます。特に、段落の質感が堅牢であり、比較的大きく設計された「’」のような記号がそれを支えていますね。一つの文字の視覚的リズムが記号にも維持されているためでしょう。今すぐ本文に適用してみたくなるような書体です。

  • 閔ボンMin Bon

    ラテンにはセリフとサンセリフ、日本語には明朝とゴシックというパートナーがいるのに対して、ハングルは明朝と対をなすゴシックが少し物足りないと感じていました。これまでのハングルのゴシックは、機械的なものばかりで手書きスタイルのゴシック体がなかったからです。筆跡や骨格、画線の輪郭に手書き感があり、独創性も備えたこの作品は、ハングルの新しいカテゴリの書体として、よいサンプルになるのではないでしょうか。

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