ハングル部門 モリサワ賞 銅賞
Space-Block
Designer
イ・スンヒョブ(李承協)
韓国
韓国慶州出身。ソウル女子大学大学院でタイポグラフィを専攻。Yoondesignグループでフォントデザイナーおよびコンテンツデザイナーとして勤務、現在フリーランスデザイナーとして活動中。2015年第23回ハングルフォントデザインコンテスト(한글 글꼴디자인 공모전)「世宗(セジョン)大王賞」受賞。
審査員コメント
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沈愚珍Sim Wujin
黒で読むか白で読むかによって異なる姿を見せる独創的な作品です。タイプデザイナーたちもあれこれ考えてみないと読めない、でも少し時間をかけて見ればハングルを理解する人ならほとんど読める書体で、判読性の調節が非常に絶妙です。一見すると冷たい印象ですが、見れば見るほど愉快な書体です。非常に少ないグラフィック要素を使って文字を作り出す書体は多いですが、このように愉快な執拗さを見せてくれた書体は見たことがありません。特にモアスギ(ハングル字母を音節単位でまとめる表記方法)を独創的に解釈した書体が出てきて大変嬉しかったです。本作を見ながら“あ、これをこうやって解いたんだ、おもしろいね”とデザイナーの工夫を見つける楽しさがあります。
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崔瑟杞Choi Sulki
この作品は、ハングル字母の組み合わせの特徴を明確に表現しています。モジュールを活用した幾何学的な書体をデザインするとき、はじめは決められたルールに従いますが、そうすると多くのグリフを描いていくうちに必然的に例外が生じてしまいます。ただ、本作は一貫性を保ちつつ、その課題を見事に解決していますね。その結果、段落の質感が多次元的な形へと変化しながらも、文字が読みやすいという2点の両立が実現されていてすばらしいです。
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閔ボンMin Bon
黒の背景に白で文字を彫っていくというデザインは、ほかの部門の受賞作品でも見られましたが、これは錯視のように白からも黒からも読めて、読み続けるうちにおもしろく感じてくる、そんな作品です。白い部分を読んでもハングルの文字とわかり、黒い部分を見てもゴシックとわかります。斜めのラインは文字に奥行き感を与えており、白=線、黒=面、斜めのライン=立体と捉えることで、次元の異なる3つの見方ができる書体だと思います。
制作意図
15の基本ブロックを組み合わせて作ったユニークなハングル書体です。ブロックとブロックが出会う境界線が文字の画となってハングルが完成します。まるでブロックを組み立てるように文字の空間を組み合わせながらハングルを新しく面白く表現できるデザインです。
入賞コメント
私はフォントデザイナーとして何年も活動していましたが、実は最近別の分野の仕事を始めました。モリサワのコンペティションには何度も応募しましたが毎回落選し、今回のハングル部門のコンペティションに最後の挑戦という気持ちで応募しました。幸いにも良い結果につながったことで感謝の気持ちでいっぱいです。これからも私は自分のペースでゆっくりでも黙々と粘り強く文字を作っていきます。