簡体字部門 モリサワ賞 佳作

HaoBoTi

Designer

钱浩Hao Qian

中国

中国生まれ。希少疾患(肢帯型筋ジストロフィー)を抱えながら、内モンゴル大学卒業後、フリーランスとして複数のフォントメーカーと協力し、書体デザインに従事。これまでに2書体のフォント製品を開発。2020年漢儀フォントスターデザインコンペティション三等賞を受賞。著書に『做字:实用字体设计法』がある。

  • 制作意図

    モダンでありながら、アンティークな風合いを持つ太い書体です。素朴な顔真卿の楷書と無骨な魏碑の特徴を、シンプルな手法で融合させる発想から生まれたこの作品は、力強さと柔らかさを兼ね備えています。太くてシンプルな筆画に手書き感のある骨格を取り入れ、たっぷりとした字面の中で、黒と白のバランスの調和を追求しています。完成した書体は、雄大で堂々とした雰囲気を醸し出しています。

  • 入賞コメント

    タイプデザインを学べば学ぶほど、自分の未熟さを痛感しています。今回、細部へのこだわりがいかに重要かを教えてくださった曹文強先生に心より感謝申し上げます。また、作品を評価してくださった審査員の皆様にも深く感謝いたします。この賞は、タイプデザインの道をさらに追求していくための大きな励みとなりました。最後に、タイプデザインコンペティションが今後さらに盛り上がり、多くの素晴らしい作品が生まれることを願っています。

審査員コメント

  • 朱志偉Zhu Zhiwei

    シンプルで滑らかな線質に加え、雄渾で力強い雰囲気を持ち、躍動感がありながらも威厳を感じさせる書体です。完成度が高く、実用性にも優れていますね。横組みでは文字の上下のばらつきがなく、縦組みでも左右の揺れが少ないため、どちらの組版でも美しく仕上がりそうです。このような素晴らしい組版効果は、デザイナーが重心や字面サイズを正確かつ体系的にコントロールした結果と言えるでしょう。

  • 陳嶸Chen Rong

    しっかりとした力強さを持ちながらも、堅固さの中に柔らかさとふくよかさを兼ね備えた、上品な印象がありますね。楷書でありながら、ほんのりと魏碑の雰囲気も感じられます。空間全体の白と黒のバランスが良く、細部の処理からは熟練の技がうかがえます。ただし、偏と旁から成る一部の文字については、重心の調整にもう少し余地があるかもしれません。右はらいの収筆には豊かな表情がありますが、左はらいはやや単調な印象を受けるため、起筆や終筆にもう少し変化を加えると、より魅力的になるでしょう。

  • 劉暁翔Liu Xiaoxiang

    太いウエイトの書体デザインにおいて最も難しいのは、筆画の視覚的なバランスと、小さいサイズでの可読性の確保です。特に、筆画の多い漢字ではその難しさが際立ちます。本作では、これらの課題を見事に克服しています。さらに、英数字も美しくデザインされており、漢字との調和も取れています。

掲載している作品、プロフィール、制作意図、入賞コメントは、作者から提出された内容をもとに掲載しています。