繁体字部門 モリサワ賞 金賞

Cao Chuang Gu Yun

Designer

顾蓉蓉Rongrong Gu

中国

山西省太原市生まれ。2018年に視覚伝達デザイン学科を卒業。上海で書体分野の発展を集中的に学ぶ。5年後の2023年末、上海で「字刻Typetime」プロジェクトを立ち上げ、古代遺跡にある彫刻文字の研究と復刻作業に従事。

  • 制作意図

    宋代の古典籍である周密の『草窗韻語』に由来し、その書体は秀麗で清雅、欧体の風味を感じさせます。このスタイルは刻本の書体では非常に珍しく、ただ細いだけでなく、細さの中に秀麗さがあります。
    復刻の過程で、欧体の細く引き締まった端正なスタイルを取り入れると同時に、文字の相対的な生き生きとした活発さと軽快な感覚を保ち、元の写刻本の書体の持つ「妖しさ」を最大限に再現しています。

  • 入賞コメント

    金賞を受賞できて非常に光栄に思います!この賞は、彫版書体の復興という私の取り組みを大きく肯定してくれるものだと感じています。千年近くの歴史を持つ古代遺跡文化の価値をさらに確信し、将来も書体デザインを通じて古代遺跡文化の美しさを探求してより良い作品を届けることに専念したいと思います。

審査員コメント

  • 廣村正彰

    文字ひとつひとつが美しく、小さく組んでも大きく組んでもバランスが良い、非常に完成度が高い書体です。審査員全員の満場一致で金賞に決まりました。書体を使う側=グラフィックデザイナーの立場としては一文字単位の見た目だけでなく、組まれたときの美しさも重要視するポイントですが、その点でもずば抜けてすばらしいと感じました。クラシカルでオーソドックスなデザインではありますが、フィットする場面が多い書体だと思います。

  • 許瀚文Julius Hui

    とても上品で、見ていて気持ちがいい書体ですね。タイプデザイナーとして書体を見るときは骨格、太さ、バランスをチェックしていくのですが、この作品はいずれもよくできています。ときに大胆な表現も取り入れながらも、全体との調和を図る、そのバランスが絶妙です。小さい文字でも読みやすく、文章のなかに画数が多い文字と少ない文字が混在してもまったく違和感がありません。個人的にも非常に高い評価をつけた作品です。

  • 何婉君Ho Wan Chun

    オーソドックスなスタイルで新しいデザインを生み出すことは、特徴的なデザイン書体をつくるよりも難しいものですが、この作品はその難題に果敢に挑戦しています。できあがった書体はどこか見覚えのある印象でありながら、現代的なムードが感じられ、さりげない革新性も見て取れます。デザイナーとして“このシチュエーションで使えそうだ”というイメージがすぐに思い浮かびますね。リラックスした雰囲気をまとう、素敵な書体だと思います。

掲載している作品、プロフィール、制作意図、入賞コメントは、作者から提出された内容をもとに掲載しています。