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欧文部門の審査員からのメッセージを掲載しました

審査員の皆様からのメッセージをご紹介します。今回は欧文部門の審査員の4名です。

(敬称略)

小林章

約10年前、前回のモリサワ賞コンテストの時と比べて、今は普段の生活の中でもフォントや書体について語られることがすごく多くなっているんじゃないでしょうか。当然、フォントをデザインしてみたいと思っている人も増えてきているはずです。つくり始めてみて、けっこう大変なんだってことに気づいてくれたら嬉しいな。フォントって、人がつくっている。それが伝わることに大きな意味があると思っています。

 

サイラス・ハイスミス

アルファベット(文字)との仕事は驚きに満ちている。文字の形そのものが素晴らしい素材であるばかりか、アルファベット(文字)をサポートする社会基盤が既に存在しているからだ。世界中のほとんどの人が文字を読むことを学ぶし、世界中のあらゆるところに文字があふれている。アルファベット(文字)に神様でさえも関わっていることが、いろんな宗教に見られる。私たちとアルファベット(文字)の絆は深い。だから、それを仕事にしているタイプデザイナーが感謝しなければならないことはたくさんある。

 

サラ・ソスコルン

みんながいつも注目していたモリサワのタイプフェイスコンペティションが、最後に開催されてからもう10年経ったとは驚いた。

しかし、タイポグラフィ時間で測れば、もっと長く時が経ったように感じられる。この10年で目まぐるしい変化が起きた。新しいツール、新しい書体、専門的な新しい研究プログラム、進化し続けるフォーマットやプラットフォーム、新しいメディアの登場などなど。そして何より興味深いことは、書体デザインに対する新しい気づきや興味が、我々の属するこの小さな分野を飛び出して大衆文化の中に出てきていることだ。実のところそれはこのコンペティションの長年にわたるゴールであったのだが、個人が世の中や他者とどう関わっていくかという本質的な部分において、今や書体がますます重要な位置を占めてきたということだろう。

この間に他の全てが変わってしまったとはいえ、デザインを受賞するための要素は何も変わってはいない。優れた書体デザインには、途方も無い大きなアイデアから最小のディテールにいたるまでさまざまな要素が備わっていて、その両方が一緒になった時に飛び切り上等な作品が生まれるものだ。私の仲間のデザイナーたちが、この長かった10年の間に、袖をまくりあげてどんな仕事をしてきたのか、彼らの引き出しの中にどんなんデザインが潜んでいたのか、その著しい変貌過程をこのコンペティションではわくわくする圧縮レンズを通して目撃することができるかもしれない。そうなれば、今回のコンペティションが近年稀にみる最も刺激的な機会の一つになるだろう。

さあ、深く掘り下げ、しっかり取り組んで、応募しよう!

 

マシュー・カーター

再び審査員として戻ってきました!以前も4回ほど審査員を務めましたが、更に進化したバージョン2.1のコンペティションに参加できることを嬉しく思います。

今回の審査員には、今までの経験者二人に加え、デザイナー、教育者として目覚ましい活躍をしているより若い世代が新しく加わりました。彼らは、まさに現代タイプデザインの最前線にいるので、若い人たちの作品への共感も強いはずです。その意味で、この権威あるコンペティションに参加しようとしている学生や若手のデザイナーのみなさんの士気がますますあがることを望んでいます。

タイプデザイナーの特質を言い表すのはなかなか難しいことですが、MOMAのパオラ・アントネリが、『Domus』誌の2011年11月号で大胆な(かなり説得力のある)試みをしています。彼女の観察によると、「タイプデザイナーは、折衷主義で好奇心が旺盛、偏執狂的で熱中するタイプ、その上極めて厳格、几帳面で、規定や制限を信奉し、より高度なデザイン行動基準に忠実。」だそうです。あなたは自分がこのパオラの分析に当てはまると思いますか?彼女は続けて、現代の技術の驚異的な進歩を受けて立つ大変さを説いた後、「このような脈絡の中でフォントデザインこそ今日存在するデザインが最も進歩した形と言えるだろう。」と言っています。これは、今回のコンペティションに応募するみなさんにとって何と幸先の良い言葉ではありませんか。

審査員をあっと驚かせてくれる作品が出て来ることを期待しています!

 

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