和文部門

鳥海修

書体設計士

近年、PCの制御によってますます書体の裾野は広がったように思います。その中でも私は読むための書体、つまり本文書体の制作に軸足を置いてきたので、完成度の高い本文書体を望むのは致し方ありません。ただ、PCを使うことで、線が硬くなり文字が冷たくなる傾向にあるように思えます。そうしたことから私は、手書きをベースにした美しい曲線や暖かい雰囲気の文字で構成される豊かな書体に飢えているし、もっと言えば、作るのが楽しくてワクワクする作者のエネルギーが溢れんばかりに放出されている書体、そういうものをもっとも見てみたいと思います。ぜひとも果敢に挑戦してください。

和文部門

西塚涼子

アドビ プリンシパルデザイナー

日本語は世界で使用率が約2％の言語ですが話者数では13位という低くはないランキングです。フォントも年々充実しもう十分過ぎるように見えているかもしれません。もしそう思っているならば視野が狭くなっていますよ！ 日本語がある限り日本語を着飾るフォントには無限の可能性があります。私はまだまだ作りたいアイディアがストックされていて脳内から出るのを順番待ちしてる状態です。フォントは基本的には自分では無いユーザーがデザインに使う素材です。可読性かインパクトか、どの機能を重要視しどこに使うと効果的なのか、それが伝わるように考えてデザインをしてみてください。たくさんのエントリーを楽しみにしています。

和文部門

北川一成

GRAPH代表取締役／デザイナー／アーティスト

私は、企業やブランドの象徴としての図形を考案することを生業にしています。 平素から良い図形を創ることは、良い余白を創ることだと考えております。 書体の制作であれば、書体を制作する際に、書体の周辺に存在する（絡みあう）余白をどう創るのかが作者の腕の見せ所であり、書体（図形）に、情報に情緒が付加されて味わいが醸されるととらえています。 このたびモリサワ タイプデザインコンペティションに応募される皆さまの傑作書体にひそむ余白との響きあいの妙を拝見できることを今から楽しみに期待して当日の審査に厳正に挑みたく思っております。

欧文部門

ラウラ・ミセゲル

Laura Meseguer

タイプ・ブランドデザイナー

欧文タイプデザイナーの皆さん！ 最近、素晴らしい書体をデザインしましたか？モリサワ タイプデザインコンペティション2024では、それを見たいと思っています。モリサワ賞に応募することで、あなたの特別なフォントを輝かせてください。私たちは最高の作品を求めています。 恥ずかしがる必要はありません！あなたの書体が次の大ヒットになり、皆からあなたの才能と結びつけるような評価を得るかもしれません。品質と厳格さにこだわり、注意深く正確に作られたフォントを評価しています。ですから、書体に最後の磨きをかけて、コンペティションに応募してください。 ここで受賞するということは、あなたの書体がただ目立つだけでなく、あなたと書体が真剣な関わりを持っていることを意味します。参加する準備はできましたか？ ぜひ挑戦してみてください。

欧文部門

イリヤ・ルーデラマン

Ilya Ruderman

タイプ・グラフィックデザイナー

未来の参加者の皆様へ
既にご存知かもしれませんが、モリサワ タイプデザインコンペティションは、タイポグラフィの卓越性のための灯台のような存在です。1984年の創設以来、このコンペティションは多言語タイポグラフィの世界的な風景を形成する最前線にありました。イノベーションを促進し、創造的な境界を押し広げることに根ざした豊かな歴史を持ち、国際的なタイプデザインにおける卓越性のベンチマークとなっています。 再び提出の扉を開けるにあたり、この名誉ある伝統の一部となることを検討していただきたいと思います。皆さんのユニークな視点と芸術的なビジョンが、このコンペティションの魅力的な物語の次の章になるかもしれません。 世界の舞台で才能を披露し、デザインの世界に消えることのない痕跡を残した先駆者のコミュニティに参加するこの機会をお見逃しなく。 皆さんが持つ疑いない輝きを目の当たりにすることを楽しみにしています。

欧文部門

インドラ・クッファーシュミット

Indra Kupferschmid

タイポグラファー／教授

今年、これまでよりも可能性を広げた形でモリサワ タイプデザインコンペティションが再開されたことを、私は大変嬉しく思います。皆さんの創造的なデザイン、熟考された再構想、技術的な探求で私たちを驚かせてください！特に、文字とコミュニケーションに対する関心で結ばれた、多様なデザイナーたち、さまざまなアイデンティティ、背景、地域、教育を持つ参加者の作品を見ることを楽しみにしています。

簡体字部門

朱志偉

Zhu Zhiwei

タイプディレクター

フォントデザインの魅力は、その独自の美しさと機能的な実用性、そして文字から伝わる感情や意味を強化する役割にあります。これはフォントの魅力であり、またフォントデザインの核心的な価値でもあります。時代と技術の進歩に伴い、社会の風景や人々の精神生活、物質的な生活が大きく変化し、文字を含む媒体も絶えず変化している。これは、フォントも現代に適応した変化を遂げる必要があることを意味します。フォントに新たな美しさと機能を与えるために、フォントデザイナーは現代の状況を深く理解し、技術の発展がフォントにもたらす新しいニーズや変化を充分に把握する必要があります。したがって、フォントの革新的なデザインの目標と方向性を確立するには、より深い考えが必要です。今回のコンペティションでさらに多くの優れた作品が登場することを期待しています。

簡体字部門

陳嶸

Chen Rong

准教授／アートディレクター

武蔵野美術大学大学院に在籍していた頃、恩師である勝井三雄先生は当時モリサワ賞 国際タイプフェイスコンテストの審査員であり、モリサワ発行の雑誌『たて組ヨコ組』は私にとってまさにタイポグラフィを研究する上大事な資料でした。中国と日本は同じ漢字使用国であり、漢字タイプデザインの文化交流にも長い歴史があります。モリサワが今年さらに簡体字部門を新設することを大変嬉しく思いますし、審査員として招かれたことを光栄に思い、みなさんの作品投稿を期待しています。このコンペティションが簡体字タイプデザイン文化交流の饗宴となることを願うとともに、優れた作品に出会えることを楽しみにしています。

簡体字部門

劉暁翔

Liu Xiaoxiang

XXL Studio／アートディレクター

フォントと組版はグラフィックデザインの基礎です。今回のコンペティションの審査員として、参加作品に期待しています。未来に影響を与えるフォントデザインがこのコンテストで登場することを待ち望み、参加者の皆さんが素晴らしい成績を収めることを願います。本大会の成功を心から祈っています。

繁体字部門

廣村正彰

グラフィックデザイナー

繁体字は美しい！複雑で筆画も多いが漢字本来の意味を強く感じる字体系である。複雑ならではこそのバランスを整えた新しい書体も見てみたいし、歴史が深いことで文字が持つ本来の意味やヴィジュアル化した面白さを強く出した書体も見てみたい！アジア文化の源流のひとつである繁体字の表現がもっと広がることを期待しています。

繁体字部門

許瀚文

Julius Hui

タイプフェイスデザイナー

過去10年以上、中国語フォントデザインは再び世の中から関心を集め、多くの支援のもと、期待を受けて新しい書体のリリースが実現されました。モリサワは世界で影響力のある大手フォント企業であり、MOTCの規模と専門性は私の先生たちの若い時代からすでに名声を得ていました。今回新たに繁体字部門が加えられたことは、モリサワと皆さんが積極的にフォント業界の発展を推進し、すべてのフォントデザイナーに自己挑戦の機会を与えようとしていることを反映しています。この機に審査員として参加できることをとても光栄に思うと同時に、世界の技術と生活の大変革に直面する中で、MOTCを通じて、皆さんが現行の中国語フォントの継承、変革を起こすこと、現代の先駆的な作品を共有することを楽しみにしています。皆さんの作品を拝見するのを心待ちにしています！

繁体字部門

何婉君

Ho Wan Chun

グラフィックデザイナー

モリサワ タイプデザインコンペティションは、フォント業界において重要な意味を持っています。今年は繁体字、簡体字、ハングルの3部門が加わりました。機能性と美しさが融合したデザインを期待し、フォントデザイナーの皆さんにはぜひ積極的に応募していただきたいと思います。より良いフォントデザインの環境とリソースのためにフォント開発を重視し、漢字への注目が高まることを期待します。

ハングル部門

沈愚珍

Sim Wujin

タイポグラファー／タイプディレクター／作家

文字をじっと観ていると、短い一画にもたくさんの工夫が凝らされていることを感じます。美しいです。 しかし、読みものの多い時代でもあります。 あちこちに文字が溢れています。 時には、その猛スピードに文字のディテールが埋もれてしまったり、読み疲れた人が文字に飽きてしまわないか心配になります。ここまで丁寧に文字を作る必要はないのではと思う反面、よくできたフォントに触れるとすぐに違いを感じます。改めて確信します。“読みものの多い時代だからこそ、よくできたフォントが必要なんだ！” 私はこのように疑心と確信を繰り返しながら文字を作ってきました。みなさんのディティールはどのような過程を経たのでしょうか？楽しみにしています。

ハングル部門

崔瑟杞

Choi Sulki

グラフィックデザイナー

モリサワ タイプデザインコンペティションでは今年ハングル部門が新設されました。新しく招かれたハングルをゲストとして紹介し、他の言語との調和を促すことが私の役割だと思っています。ハングルが新しいゲストなら、私はタイプデザインの世界におけるゲストです。私は活字を作る人ではなく、使う人だからです。タイプデザインでは文字の構造やシステムと同じくらい、心を打つスローガンや変わらない真実、アイドルグループの名前を書いた際の効果も重要です。それらを想像することも私の役割だと言えます。最近、韓国では若い独立クリエイターが絶え間なくハングルフォントを発表しています。そうしたハングルタイプクリエイターがこのコンペティションに興味を持ち、参加してくれることを願います。

ハングル部門

閔ボン

Min Bon

タイプデザイナー／教授

モリサワ タイプデザインコンペティションは、東西の文化だけでなく、アナログからデジタルへのメディアの変化まで包括する真の活字文化の交流の場としての役割を果たしてきたと思います。 今後このコンペティションを通じて、そしてその影響下で、どのような融合と創造が起こるのか、すでに期待を寄せています。 様々な文化圏からお越しいただく皆様を、先立って歓迎いたします。

特別審査員

サイラス・ハイスミス

Cyrus Highsmith

タイプデザイナー／グラフィックアーティスト

1984年、モリサワは最初の国際タイプデザインコンペティションを開催しました。40年後、写真植字機の発明100周年を迎えるモリサワでは、このコンペティションが今もなお盛り上がりを見せています。この間、植字技術とフォント制作方法は多くの変化を経験しました。当然、コンペティションも変化しています。 従来の欧文と和文のカテゴリーに加え、ハングル、繁体字、簡体字の新しいカテゴリーが設けられました。これは、タイプデザインとタイポグラフィーの国際的な性質がますます高まっていることへの謙虚な認識です。将来的にはさらに多くの書記体系を含めることができることを願っています。 新しい審査員は、ドイツ、スペイン、ロシア、韓国、台湾、中国、香港、そしてもちろん日本からのメンバーでこの拡大を反映しています。彼らは、著名なタイプデザイナー、経験豊富なグラフィックデザイナー、そして献身的な教育者であり、タイポグラフィーに対して鋭い目と強い意見を持っています。このグループにとって、数多くのエントリーの中から最高のタイプフェイスを見つけるという仕事は決して軽視されません。 受賞者は名誉だけでなく、金賞は100万円の価値があります。エントリー料は無料です。すべてのエントリーに関する知的財産権は参加者に帰属します。応募作品はアメリカ、ヨーロッパ、アフリカ、オセアニア、アジアから大阪に届きます。誰でも歓迎されます。 技術は進化し続けますが、高品質なタイプフェイスを作り出すには時間とコミットメントが必要です。コミュニケーションと繋がりのための人間のニーズは今まで以上に強くなっています。モリサワタイプデザインコンペティションは、世界中でタイプデザイナーが行っている努力を支援するためにここにあります。

特別審査員

マシュー・カーター

Matthew Carter

タイプデザイナー

モリサワ タイプデザインコンペティションは、現代のラテン文字デザインの優れた作品に報いる長い歴史を持っています。このコンペティションの名声は、世界中から、初心者から確立されたプロフェッショナルまで、幅広い経験を持つデザイナーの作品を集めています。彼らはすべて同じ条件で競います。審査員の選出は、タイプデザインを最高のプロフェッショナルレベルで批評的に評価することを保証します。 長年審査員を務めた私（現在は名誉職に退いています）は、他の審査員と協力して、大量の応募作品から小さな最終グループを選び出す過程が常に無限に魅力的だと感じていました。各コンペティションは、テキストタイプ、ディスプレイタイプ、スクリプト、セリフ、サンセリフ、そしてラテンアルファベットが可能とする他のすべての変種の組み合わせが異なるため、毎回異なります。 2日間にわたる審査員間の議論は常に友好的であり、最終決定が下されるにつれてより激しくなります。私の経験では、最終的な受賞者の選択は常に全会一致でした。 モリサワコンペティションの40年間で変わったことの1つは、学生からの応募数です。この増加は、タイプデザインが現在いくつかの学校で教えられており、最近のコンペティションで学生の応募作品が成功していることを判断すると良い結果をもたらしているという事実を反映していることは間違いありません。新進タレントに報いるこの傾向が今後も繁栄することを願っています。