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レポート:第6回特別セミナー『文字を作る、文字を使う』session1 サイラス・ハイスミス氏 講演

2018年8月28日、東京国際フォーラムにおいて株式会社モリサワ主催「第6回タイプデザインコンペティション特別セミナー」が開催された。
このセミナーは「タイプデザインコンペティション 2019」の作品募集開始に先立ち行われたもので、欧文部門審査員でタイプデザイナーのサイラス・ハイスミス氏の講演、和文部門審査員で書体設計士の鳥海修氏と過去のコンペティション入賞者との対談、そして最後に文字の使い手として、アートディレクターの葛西薫氏が登壇した。

「Writing & Drawing 書くことと描くこと」

最初のセッションは、タイプデザイナー、グラフィックアーティストであり、子供向けの絵本やタイプデザインの解説書の執筆も行うOccupant Fontsのサイラス・ハイスミス氏の講演。タイプデザインコンペティションでは、2012年からモリサワ賞欧文部門の審査員を務めている。

サイラス氏は講演のキーワードとしてまず「ドローイング(描くこと)」を挙げ、自身が手がけた絵本やイラストをスクリーンに映しながら、ドローイングが物語をつむぎ出したり、見た人のイマジネーションを膨らませるために重要な役割を担っていることを解説。ドローイングはただ作品として完成させるために描くだけではなく、自分が見たものをより深く観察したり、アイディアを練り深めたり、人に伝えるためにも描くし、自分の気持ちを落ち着かせるために描くこともあり、毎日ペンやインクを使って、スケッチブックへのドローイングを行っているという。

ドローイングにおいてラインを描くことは、その「モノ」の形を描き出すだけでなく、モノの周りにある「空間の形」を同時に描くことでもある。これはドローイングの重要なポイントであり、タイプデザインにおいてもまったく同じ考え方が適用されるという。文字を描く際に黒の形状(塗りの形)と白の形状(余白の形)を常に意識するようにしているのだそうだ。

一方、イラストなどのドローイングは物語を描き出すが、タイプデザインはもっと抽象的なものであるべきだとサイラス氏は語る。タイプフェイスにはすでに強い主張があるが、主張しすぎたり行きすぎて他のエレメントと口論になるようなことがあってはならない。

サイラス氏は1990年代にモリサワがタイプコンペティションを催していること知ったが、そのときは「なぜ日本のフォントベンダーが欧文書体に興味があるのか?」と不思議に思っただけで応募するには至らなかった。これは今でも残念に思っているとのこと。講演の最後には、「スケッチブックで輪郭を描くだけでタイプデザインができる。これまで書体を作ったことのない人でも、和文欧文にこだわらず、コンペティションにぜひ参加してもらいたい。審査員としてみなさんの応募作を見るのを楽しみにしている」とメッセージがあった。

〈文●伊達千代(TART DESIGN OFFICE) 写真●弘田充〉

→Session2 過去入賞者 特別対談に続きます。

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